《止まり木にて》

《止まり木にて》

シングルチャンネル、カラー、サウンド、6:25

2026

早朝の銀座、有楽町辺りは人があまり歩いていなくて、鳩やカラスの方が多いような気がした。彼らは同じ世界にいながらも、自分たちのシステムと違うところにいて、路上から建物の屋上に飛ぶだけで移動して、たまに
鳴いたりしている。あの容易さとは違うし、眺めが良いからという感覚で高いところに止まるわけでもないのかもしれないが、無性にあれをやってみたくなった。人間である自分はエレベーターのRのボタンが反応しない
ようになっていたり、関係者以外立ち入り禁止の札などに阻まれてしまうことが多かった。屋上に出て、室外機から吐き出される空気や下を走る車の廃棄ガスなどを吸い込み、笛を鳴らす。下を歩く人々は気にする様子も
なかったように見えた。多分ビルに跳ね返るなどして反響した音は、少し自分の耳の感覚を狂わせるが、その後は何も残らない。